形のない足跡

七辻雨鷹(ナナツジウタカ)。マイペースで子供っぽい人のまた別のお話。「ようこそ、カオスへ。」

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

三.花本美冬-8732

「花本……おい、花本。」まだぼんやりとしたまま目を開けると、男子生徒が立っていた。日に焼けた肌と短く切った髪はいかにも活発そうな感じがする。額に滲んだ汗を拭い、彼は無言で何かを突き出した。ミルク味のアイスバーだ。戸惑い、受け取り損ねていると…

二.交点-8732

夢を見た。 学校の5階の廊下を歩いていた。どこへ行くのかはわからない。しかし、行かなければならないという気持ちがあった。角のエレベーターホールの前、窓のそばに美冬が立っていた。白い無地のワンピースを着て、胸元まである髪を下ろしている。「真雪…

一.花本真雪-8732

壁紙の白が明るくなるのを眺めていた。目はとうに覚めている。夜明けと共に目が覚める真雪の朝は早い。家の中は物音一つしないが、外からは新聞屋のエンジン音が聞こえていた。いつもならすぐに起き上がって着替えるところだが、そういう気分でもなかった。…

8732をカクヨムで

26日(水)から2日に一度の更新で、小説投稿サイト「カクヨム」にて、小説『8732』の連載をします! 読んでくれると嬉しいです。 よろしくお願いします。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883700620